極上のパウダースノーを求めて世界中のスキーヤーや観光客が訪れる
2023年12月から北海道のニセコエリアで、タクシーを活用した実証実験をスタートしました。2024年3月までの期間限定ですが、オーバーツーリズムによる交通課題解決において非常に意義のある取り組みとなっています。
突然ですが、ニセコエリアをご存じでしょうか?このエリアは地域性がとても特殊なエリアです。 北海道の新千歳空港から車で2時間ほどに位置しており、極上のパウダースノーが魅力のリゾートエリアで、毎年その雪を求めて世界中から多くのスキーヤーや観光客が訪れます。 そのためシーズンになると街全体が外国人だらけで、ここは外国?と思うほどインバウンド色が強くなっています。地域内にある標識や看板等はほとんどが英語表記となっておりその様子が伺えます。 また、外国人の中でも富裕層が多くニセコエリア内でのインフレが起きているのも特徴で、そこへ外資系企業が参入することで拍車がかかり、レストランの客単価はどんどん上がり、ラグジュアリーなホテルやコンドミニアムの開発が加速化しています。
北海道の新千歳空港から車で2時間ほどに位置するニセコエリア
そんな状況の中、冒頭記載したオーバーツーリズムによる移動需要が局地的に膨れ上がるため、観光客・地元住民共にラストワンマイルの移動が非常に大きな課題となっていました。 インバウンドの観光客は1週間、2週間と長期滞在するケースが多く、スキーを目的に訪れたとは言えせっかく観光しに訪れたのだから、ホテル施設内だけではなく現地のローカルな飲食店や温泉も楽しみたいと思いますよね。
そこで必須となってくるのが移動の足。
北海道の冬は道ゆく道は雪だらけ。歩くことも困難ですし、レンタカーも多くありますが、多くの観光客がバスやタクシーを求めて行列を作っています。公共交通機関は持続的なサービス提供を踏まえると、閑散期に合わせた稼働がベースとなるため、手当はもちろん行っているものの、観光客が来るとラストワンマイルの交通手段は供給量が不足してしまうため、自治体は大きな課題感を持っていました。
このような課題を解決すべく、冬のピーク期間限定で11台のタクシー車両と25名の乗務員さんを東京や札幌から派遣し、ニセコエリアの交通課題解決を図るプロジェクト、通称『ニセコモデル』※をスタートしました。GOでは、外国人観光客からのタクシー注文はもちろん、ニセコエリアに不慣れな乗務員さんでも効率的な営業ができるよう『GO』のサービス提供を行うほか、プロジェクトのスキーム設計を行いました。
<aside> ☝ ※北海道ハイヤー協会をはじめ、全国ハイヤー・タクシー連合会、国土交通省協力のもと、ニセコエリア限定でタクシーの営業区域外旅客運送※と遠隔点呼の仕組みを活用し、札幌・東京などのタクシー事業者から車両と乗務員の応援隊派遣を行います。本制度と遠隔点呼を活用した他営業圏からの応援隊派遣は日本初の取り組みとなります。 ※ 道路運送法の禁止行為であるが、地域の旅客輸送需要に応じた運送サービスの提供を確保することが困難な場合は、自治体の法定協議会において協議が調ったときは運送可能となる。(道路運送法第20条第2号)
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そして、今回手を挙げてくださった25名の乗務員さん含め、たくさんの方々の生活や想いがこもっているこのプロジェクト、成功させないわけにはいきません。
さて、前置きが長くなりましたが、今回の私のミッションとしては「外国人観光客に『GO』をダウンロードして使ってもらう」べく、各タッチポイントを導き出し、ポスター、チラシ、POP等を設置する、総合的なコミュニケーションデザインです。 私が入社した11月には既にプロジェクトが進んでいたため、大きなクリエイティブの方針は確定している段階でした。なので、途中からジョインする形で、そこから発生したクリエイティブ展開をいくつか担当しました。既に動いているタッチポイントもあったため、元々ある素材を活かしつつ、媒体や訴求に合ったデザインを検討、展開していきました。 前述したような地域の特性があるため、ターゲットはインバウンドに絞ります。インバウンドというターゲットを考えると、そもそも『GO』を知らない方がほとんどだと予想されます。ゆえに、まずは『GO』の認知を獲得し、利用していただく、というものが大きな方針です。
施策進行にあたり、クリエイティブ方針検討のため五十川さん(GOコミュニケーションデザイナー)が事前に現地に視察へ行ってくださっていました。プロジェクトにジョインしてすぐに、五十川さんからヒアリングを受けてキャッチアップしながら入っていったのですが、現地の様子を聞くとここにも独特な特徴が点在していることがよく分かりました。
ニセコ駅のホームから改札出てすぐのホワイトボード
駅のホームを出ると、まずは「この駅にはタクシーが来ないので呼ぶ必要がある」といった内容の文章が、英語表記でホワイトボードに書いてあります。この状態を見るだけでも、